夜光花「愛にふれさせてくれ」

ラヴァーズ文庫夜光花さんの「愛にふれさせてくれ」です。イラストはひたきさんです。

不幸にするとわかっていても、お前への執着を捨てることができない・・・。
ある事件が元で両目の視力を失った瀬尾裕也は、手術後、事故の後遺症に悩まされていた。そんな裕也の姿を見た恋人で刑事の竜治は、同じ事件現場に居合わせながら、裕也を守れなかった事をひどく後悔していた。学生の頃から凶暴で危険な破壊願望のある竜治は、裕也以外は何がどうなってもいいという程、裕也に執着している。
しかし、事件のことで刑事を辞めると言い出した竜治から裕也は距離を置いてしまう。次第にすれ違ってゆく気持ちに苛立ち、竜治の中で再び暗く危険な感情が目覚めてゆく。
「裕也が離れていくとおかしくなる。失わないで済むなら人殺しでも平気で出来る」
そんな竜治の闇に目をつけたひとりのヤクザが、刑事である竜治に揺さぶりをかけてくるが・・・。

■ 関連作品
夜光花「灼熱を呼べ」 → 感想を読む?

刑事×調律師です。

「灼熱を呼べ」の続きの作品となっています。
単品でも十分わかると思いますが、先にこちらを読んだほうがより面白いのではないかと思います。

ある事件で爆発の現場に居合わせた裕也は、それがきっかけで両目の視力を失ってしまった。
アメリカならそれほど待つこともなく角膜移植を出来ると聞いて、恋人の竜治を説得して手術を受けた。
術後、公園に母といた裕也に知らない男性が近寄ってきて「これを川辺という人に渡して欲しい」と封筒を受け取る。
そんなことは引き受けられないと断ろうとした矢先、その人は車に轢かれて亡くなってしまった。
視力を回復した裕也は帰国をするが、そのときはまだ知らない爆弾が身体の中で眠っていた。
封筒については刑事の竜治に相談をするが、その中身は楽譜だった。
他人にまったく興味がない竜治が唯一気にかける、自分の亡くなった叔父の恋人の光のバーに裕也を連れて行き紹介するが、光は叔父と瓜二つな竜治の中に叔父を見たのか、竜治自身が好きだったのかわからないが、竜治に本気で好かれている裕也に激しい嫉妬を抱き、昔竜治と関係があったことをばらしてしまう。
自分の中で、竜治の存在が大きくなっていたことに気付かなかった裕也は、竜治から逃れるように外に出た先で、車の眩しいフラッシュを浴びて突然倒れてしまうが、それはPTSDという後遺症だった・・・・・・というところから始まるお話です。

前作「灼熱を呼べ」では、連続爆弾事件のほうが大きく取り扱われていて、それはそれで面白かったのですが、今作は恋愛面と精神的なもろさがかなりの割合を占めていて、いい意味で予想が裏切られてびっくり仰天でした。

PTSDという精神的な障害が残ってしまったことが判明し、同じ現場に居合わせたのに何の障害も現れていない竜治と比べ、なんて自分は弱いんだろうと悩む裕也と、同じ現場にいながら何故大切な裕也を巻き込んでしまったのかと苦悩する竜治──。

恋人同士はどっちがより好きかということを考えるかと思いますが、明らかに竜治のほうが裕也を好きだろうと思っていたのに、何気に裕也も竜治をちゃんと想っているところがわかる展開がよかったです。

竜治がすごい裕也のことを好きなのはわかるのですが、さりげなくテーマが重いかんじの中でも、今回はちゃんと裕也の気持ちも確認できてよかったのではないかと思います。

このPTSDの問題以外にも、竜治の凶暴性?を見込んでヤクザの笹来からスカウトを受けていましたが、裕也の存在が露呈したことによって、竜治が条件を飲むのか・・・・・・飲むんだろうと思いきや・・・・・・潔癖で正義の男・裕也がそんなこと赦すはずもなく、一時はどうなるかと思いましたが、なんとか話は終息の方向へ。

どのエピソードも一つ一つはそれほど大きな話ではありませんが、これが一つにまとまって、初めて二人が歩み寄れるように仕上がっているのはさすがだなと思いました。

また、今回は裕也の職業の音楽系の話が、ミステリアスに描かれていて個人的には満足な一冊です。
非常にドラマティックなハッピーエンドでした。

しかし、こっちの傷は後遺症は残りませんよね・・・(笑)。

面白かった度:★★★★★


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