小笠原宇紀「裏刀神記」第2巻

光彩コミックス小笠原宇紀さんの「裏刀神記(うらかたなかみのき) 2」です。

嘘だ、俺は400年間、幸福だったなんて──
愛刀・兼頼(かねより)に宿る刀神シヴァに不老不死の力を授けたれた伊賀忍者・墨田真改(すみだしんかい)は、傷つけられると解っていても宿敵・比良坂綱家(ひらさかつないえ)を求める身体を抑えられず、以来400年間、挑むたびに陵辱され、殺されては生き返ることを繰り返していた・・・・・・。
シリーズ最終話を描き下ろしで一挙29頁収録した完結版。
ドラマCD同時発売!
小笠原宇紀の代表作、ついに完結!!

やはり2巻を読んでよかったなと思う出来だったと思います!

最初の1巻だけで読むのを止めていたら、一番面白いところを見逃していたことになりますw
この2巻を読んで、1巻で疑問だったところや、わかりにくかったところがわかって、とてもすっきりしました。
やっぱ古本屋を捜してよかったわぁ~!

□ 裏刀神記act.3

400年前、真改は祖母から刀を譲り受けた。
その刀は何故か温かくなったりと不思議な刀だった。
祖母は手入れをしていなかったのか、状態があまりよくないため、砥ぎに出した。
しかし、刀の砥師は、今はお代はいらないので、あとで頂戴するというが・・・・・・

400年前に刀を譲り受けてから、はじめて真改がシヴァに抱かれる話です。
この刀は古くから伝わる伝承があって、刀を研いだ勝阿弥はその力を見ることができれば代金はいらないと刀に語りかけてしまったので、真改は知らないうちに刀に宿る神・シヴァに抱かれてしまうのです(笑)。

代金のためとはいえ、人の家を覗く勝阿弥がおかしかったですw
更に奥さんに覗き現場を見られているし(笑)。
話はシリアスなんですが、こういうどうでもいいシーンがいい味を出しています。

□ 裏刀神記act.4

act4は、兼頼奪回に行く真改の話です。
綱家に奪われたままの兼頼を真改は奪還しにいくが、比良坂邸にうまく忍び込んだと思ったのだが、さすがに相手も元忍者!
すぐに見つかってしまい、そのままいつものパターンへ・・・・・・

しかし、綱家が真改を苛めるためについた「兼頼を捨てた」という嘘の言葉に、それならばもう生き返ることはないから、せめてお前が殺してくれと、真改は綱家に願うが・・・・・・

もう生き返ることが出来ないなら、せめてお前が殺してくれと、ずっと惚れてる真改にお願いされてしまった綱家は、400年経ってはじめて自分の願いを口にします。
それはとても簡単なことで、だけどずっと叶わなかった

「涼太郎(綱家の昔の名前)と呼んで俺の身体を優しく抱くんだよ」

と、言いますが、意識が朦朧としならも真改はそれを拒絶する。

真改の目標は綱家を倒して一人前の忍者になることだったから。

ページ数的には多い話ではないのですが、ここでやっと綱家の真改に対する気持ちが明確になります。

読んでて好きなんだろうなというのはわかりますが、それはただの妄想だったので、その気持ちが綱家の口から出たというのが、大きいかなと思いました。
毎回襲われてはハメ殺し(笑)をしている綱家ですが、実は400年もそんな簡単だけど叶わないことを願っていたのです。

□裏刀神記act.5

民家の屋根裏で眠っていた400年前の刀神シヴァが、はじめて真改を見たのは、真改が幼少のときだった。
祖父母に引き取られた真改を、シヴァは屋根裏で大きく成長していく様子をずっと見ていた。
綱家に優しく抱きしめて欲しいとお願いされたが、真改は拒絶した。
気絶した真改を抱えて、綱家は二人の故郷である冬の奉神の山に向かう。
錆びて力を失ってしまった兼頼は、二人の研師によって力を取り戻すが・・・・・・

真改の幼少時の姿がとても可愛いですw
確かに涼太郎が惚れてしまうのも頷けます(笑)

綱家は最初はもっと刀を錆びさせてから、華道に使おうと思ったようだったが、気が変わりそれを弟子に頼んで勝阿弥家に研ぎに出させた。
勝阿弥家もあれから家は続いているのですw

※同巻のact3の研師の家です。

そこで、兼頼を探していたという二人組の手に渡り、そのうちの一人・天楽という青年は兼頼を見て涙を流して喜びます。
天楽が研ぐと、そこに力を取り戻したシヴァの姿が現れる。
この巻でも、綱家がいかに真改が好きかがわかっていいかんじです!
目が眩んでいるようですから(笑)

□裏刀神記act.6

雪が積もった冬の奉神の山で、抱き合う綱家と真改。
真改は寒さなどで頭が朦朧としており、さらにこのときに復活したシヴァが現れる。
400年もループのような関係を続けてきて、やっと訪れた好機だった。
シヴァは自分の持ち主である真改を刀で刺し、「涼太郎」が仕事を終えて真改のところに戻ってきたとささやきかけると、真改は綱家を優しく抱き名前を呼ぶが・・・・・・

真改は、act5で祖父母に引き取られますが、それ以前はどういう生い立ちだったのかわかりません。
そのときに何かがあったのかもしれませんが、真改は自分の本音が自分自身でわからなかった。
それを引き出すために、シヴァは頭が朦朧としている真改を刺し、本音を引き出します。

本音では涼太郎(綱家)が戻ってくることを望んでいた。
そして、涼太郎に教えられた確実に敵をしとめる方法を実行する。

綱家を抱きしめたときに突き刺した釘が致命傷となり、真改は400年の悲願である綱家を倒すことに成功するが・・・・・・

やっとやっと倒せた綱家だったけど、自分の本心が綱家を倒すことではなかったことに400年経ってやっと気付いた真改・・・・・・
真改を抱きしめたまま絶命する綱家、そしてそのまま綱家を抱きしめながら本当は自分は倒したかったのではなかったとはじめて自覚する。

今まで感じなかった「寂しい」という感情がやっとわかった真改を、今度は本人に言ってあげなとシヴァは真改を刺し殺します。

時間が経過して、二人はまた土から蘇ります。
そのころあいを見計らって、人の姿を取り戻したシヴァは自分の持ち主である真改を迎えに行きます。

生き返って目の前に涼太郎がいて、思わず手を伸ばした真改を拒絶する綱家。
綱家は最後に真改が自分の思いを自覚したことを知らなかった・・・・・・

シヴァは力が復活したことで、人間の身体を取り戻し、二人を埋めた奉神の山へと向かう。
そのときに自分の本体(刀)を自分で研師から貰いに行った(笑)
人間のシヴァは、仕事をしてお金を稼ぎ、自分の身体だって見受けに行くんだがら、優秀な刀ですよね(笑)
とても感心しますw

涼太郎は真改を忘れたわけでも見捨てたわけでもなく、自分が家来をもてるほどになったら戻ってきて、真改を愛人にしようとしていた。
それを思い出して、またその話をする・・・・・・

あいまいなままになっていますが、きっと真改は愛人になったのでしょう(笑)
最初に真改が雪が積もる奉神の山に入ったとき、遭難救助隊を呼ばれてしまい、100万円の借金があった。
払えない真改は、綱家に電話をして流血1回で10万円の契約を結ぼうとしますが(流血して10万って安いんじゃ・・・・・・!!!!)全額出してやるといわれた模様ですw

二人の運命のループは終わったのですが・・・・・・
まだまだラブラブな激しいSMが続きそうなかんじで、終わりです。

□刀神記(前・中・後編)

ボロボロになった兼頼を鍛えなおした研師・天楽と月年の二人組の話です。

刀鍛冶の仕事をしている兼頼の弟子の月年は、お使いの途中で倒れている異国の人間を助けた。
それが天楽だった。
兼頼と月年は、少年に言葉を教えて鍛冶を教える。
月日が経過して二人は青年に成長した。
しかし、二人の関係は微妙に変化しつつあり、月年は天楽に片想いをしていて、毎晩天楽が眠る布団の隣で自慰をしていた。
天楽の鍛冶師としての力が認められ、二代目・兼頼の名前を頂戴した。
はじめて「二代目・兼頼」として鍛えた刀が自分の故郷の神・シヴァに祈って作った「兼頼」だった。
そこに刀神シヴァが宿ったが、そのときはまだわからないままだった。
天楽は二代目・兼頼として、都にいる上皇から声がかかり、月年と離れなければならなくなった。
月年が自分の布団の隣でしていたことを知っていながら、知らないふりをしていたのは、過去の奴隷として生きてきた辛い思い出からだった。
天楽は、二代目・兼頼として都へと旅立つが・・・・・・というお話です。

天楽が都へと行ってから一年の月日が経過した。
初代・兼頼と月年は、天楽から送られてくる手紙が誰かの代筆であることが気になっていた。
天楽は文字がかけるからだ。

そこで初代・兼頼は、月年をお使いとして都に行かせるのですが、そこで見たのは見世物小屋のようなところに入れられてる天楽の姿だった。

ここで前編で明かになった天楽の過去が活きてくるのですが、天楽は他国からの貢ぎものとして運ばれている途中で、乗っていた船が難破して月年に海岸で倒れているところを発見されるのです。
だから、もともと貢ぎものであったということで、刀鍛冶の仕事はさせてもらえずに、上皇の夜の相手をさせられていた。

それでも刀を鍛えたいという天楽は、腕を切り落とされてしまい、さらに痩せてしまっては抱きこごちも悪いということで、見世物小屋に売られてしまったのだった。

月年は持ってきた「兼頼」の刀で牢をぶった切り、天楽を助け出すがやはり役人に捕まってしまい、矢の集中攻撃を浴び、致命傷を負ってしまう・・・・・・
そこではじめて「兼頼」に宿った刀神シヴァが出現し、周囲の時間を止めて二人に今死ぬか、不老不死になるかの選択を迫ります。

天楽を庇って矢を全部一人で浴びた月年はもう助からず、天楽は二人で不老不死になる決意をする。
シヴァはそれでは自分への供え物として、天楽に月年を抱けと命令する。
それを実行する天楽は、自分の腕が片方だけでもあってよかったと言うのですが、そのあたりが個人的に泣けます(T_T)

月年が都へついたあたりで一人のお坊さんに会います。
そのお坊さんにはシヴァの姿が見えていたので、シヴァは自分の姿とその光景をわざとお坊さんに見せて、天楽と月年が復活する間に自分の本体(刀)を預かってもらうつもりでいた。
そして、天楽と月年と別れてから800年後に、やっと再会を果たす。

こんなに話はシリアスなのに、月年が都に行くときの痴漢退治の方法とか笑えます(笑)。

最後に救いがあるのが、初代・兼頼。
人に人生が非常に短い時代に77歳まで生き延びたけれど、自分の決断ミスで弟子を二人も亡くしてしまい、悔いていた。
老人になった刀鍛冶は、そのときのことを考えながら刀を鍛えますが、そのときに稲荷の格好をした青年二人が相打ちを務めます。

それが天楽と月年・・・・・・

死んだ扱いになっている二人は、初代・兼頼の前に姿を現すことができなかったのですが、稲荷のお面を被って、人生最後に鍛える結果となった刀を一緒に作ります。
それは初代・兼頼にとってとてもいい仕事をした刀となって、ずっとどこかの家の家宝となるのです。

このあたりのエピソードはページ数的にも非常に少ないのですが、救いが用意されていて本当によかったと思いました。
あとがきでは800年経った今でも、初代・兼頼の墓参りをしているようなイラストが残っていて、なんだかほんわかと読み終えることができました。

非常に感想が長くなってしまいましたが、個人的に読みこめば読むこむほどに面白いと思える作品でした。
1巻だけで読むのを止めていたら、面白いとまったく感じることができずに、意味不明なまま終わっていたことでしょう。
2巻を読めて本当によかったです!!
個人的にとても楽しめました!

なにげにこのあとの展開で続いている同人誌をゲットしてきたので、今度はその感想も書きたいと思います♪
ちなみに、真改と涼太郎の話ではハメ殺しがあるので、そういうのはNGな方にはお勧めできません。
必ず一度は死にますのでw

好き嫌いがわかる作品になるかなと思います。

面白かった度:★★★★★


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