プラチナ文庫の夜光花さんの「偏愛メランコリック」です。イラストは、蓮川愛さんです。
出版社に勤める敦彦は、人形作家・夏目錬三郎との仕事にうんざりしていた。溺愛する人形に瓜二つだという敦彦の顔に異常な執着を見せる夏目は、ことあるごとに愛を囁き身体に触れてこようとする。理解できない言動と人形恐怖症に悩まされる敦彦だったが、人形を壊してしまった代償として、夏目と寝てしまう。後悔する敦彦に対し、一途で天然な夏目の愛情は暴走し始めて・・・。
人形作家×編集者です。
出版社の若い、まだ新人の部類に入る編集者の敦彦は、自分の先輩編集者が怪我をしたために、ある作家の代打の編集担当を任されることになった。
非常に変わり者で、先輩編集者も実際に会えるまでは5回も家に通った。
電話もない。
敦彦は、この仕事を本当にやりたくなかった。
何故なら担当する作家は、ビスクドールを作る人形作家だった──敦彦は人形恐怖症だったのだ。
最初は会ってくれないと言われていたので、安心して家を訪問するが、人形作家の夏目の師匠の作った溺愛するドールにものすごい似ていたこともあり、一目ぼれされてしまい・・・というお話です。
夜光さんの作風は、結構途中でびっくりするようなサスペンスな展開になることも多いので、この作品もそうなんだろうと思って読んでいたのですが、かなりサクサク読めるライトな一作でした。
編集の敦彦は、かなりの性格の悪い男です(笑)。
これが自分の部下だったら、マジで扱いにくい、やりたくないことにはブーブー文句を言い、身体全体から不満があふれてる。
そして、かなり口も悪く、無自覚に暴言を吐く。
でも、自分は常識人だと信じて疑っていない、そんな人。
人形作家の夏目は、なかなかの人嫌い。
独特の世界で生きていて、自分の敬愛する師匠の作ったビスクドール・杏珠に似ているという理由で敦彦に一目ぼれ。
人にそんな感情を抱いたことがなかったようですが、創作分野で閉鎖されたところにいた人の恋愛?は一歩違う。
敦彦の顔を『理想の造形』と言い、触りまくってたらムラムラしたのかそのままチュー!
敦彦は、初めて夏目の家を訪れます。
人形のある家になんか絶対に入りたくないと思っていたのに、一目ぼれされてしまったので、あれよあれよという間に家に入ることに成功してしまう。
通された居間にはビスクドールがあり、真っ青!
造形を知りたいとかで、夏目に触られまくってそのままチューをされ、仰天して逃げたところに人形があって気絶(笑)。
家に来てくれなくなった敦彦に、夏目はプレゼント攻撃、電話攻撃(会社宛)をしまくります。
手料理を振る舞ったり、ドールと対面して気絶した敦彦にフリフリ服を勝手に着せて写真撮っちゃったりと、ゴーイングマイウェイ。
敦彦は、杏珠のダッチワイフじゃないみたいなことを言っちゃったりと、口が悪い。
乙女な夏目はその発言に激しく憤るわけなんだけど・・・言われて考えてみたらなんていうの?関係が持てるかもしれないと思ってモジモジして「最低だ・・・!」と自分を責めてみたり(笑)。
もっと抵抗したほうがいいんじゃないの?とか思う展開でしたが、あれよあれよと敦彦は流されちゃうんですね~。
まあ、夏目もかなりぶっとんだことをしてくれているので、最後はよい受けとくっついてよかったね!
偏愛というタイトルなので、夏目がかなり愛の方向性がおかしいです。
人形が出てきていますが、ホラー的な要素は一切ないです。受けが一人で怯えてるくらいの描写です(笑)。
面白かった度:★★★★☆
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