竹書房ラヴァーズ文庫の夜光花さんの「月を抱いた」です。イラストは麻生海さんです。
直樹は住む所を転々とし、まるで逃亡者のような生活を送っていた。自分が幼い頃に犯してしまった罪を了にだけは知られたくない。ばれて軽蔑され、嫌われるのが怖い。そんな直樹の思いとは裏腹に残酷な運命は二人を再び引き合わせてしまう。四年前と少しも変わっていない了の甘く激しい求愛と、決して知られてはいけない罪の意識に、直樹は次第に追いつめられてゆく・・・。妖しく危ういセンシティブラブロマンス。
四年前に恋人のところから逃げ出してから、直樹は住むところと仕事を転々として生活をしていた。
しかしある日、アルバイトの花屋の配達でホテルに立ち寄った直樹は、逃げ出してきた恋人・了とばったり再会してしまう。
四年前と変わらない了の気持ちと、了にだけは知られたくない小さい頃に犯してしまった罪。
直樹は、それらに追い詰められてしまい、再会した了から再び逃げてしまうが・・・・・・というお話です。
この本、実はずっと探していたんです、古本屋でw
夜光花さんのデビュー作、一度読んでみたかったんです。
古本であったら欲しいなと思っていて、やっとJ庭のときの買い物で見つけることが出来たのでウキウキ購入しました。
この方のお話は深く書きすぎるとネタばれしすぎちゃうし、毎回難しいなと思っています。
今回は幼なじみもので、最初から既に恋人の了から逃げて四年経過してるところからお話が始まります。
了に対して非常に悔恨の念を抱く直樹は、高校生のときに了に告白されて罪を償うかのように付き合ってしまう。
一時的な恋だと思っていたからこそ受け入れたが、了の気持ちは大学に進学しても少しも変わることがなかった。
付き合うようになると了と身近な会話をするようになる。
了から家族の話を聞きたくない直樹は、それがだんだん苦痛になってきていた。
贖罪の気持ちから付き合い初めたけれど、どんどんその罪を隠していることにも疲れてしまっていたとき、了の妹の百合から兄と付き合わないでほしいと責められてしまう。
了の妹・百合と直樹は、とある秘密を共有していて百合とも会いたくなかった。
罪の意識がピークに達した直樹は、ある日突然大学を辞めて了の前から姿を消してしまいます。
そんな状態で4年も経過していたある日、ホテルのエレベーターの前でばったり再会してしまいます。
それが元で勤務先もばれてしまい、突然了からの逃亡生活が終了してしまう。
高校時代の友人とも再会してしまう。
故郷には二度と帰らないと決めていたが、小さい頃に遊んでいた山に開発の手が入ることを知り、直樹は突然焦り始める。
故郷には、了に知られたくない罪が眠っている。
それを隠蔽したくて、了には何も告げずに帰郷してしまいます。
そんなつもりはないけれど、またもや直樹は了を捨ててしまったことに!!w
故郷に戻らなければならなくなったあとから、直樹はどんどん自分を追いつめてしまいます。
その追い詰められていくかんじが、個人的にはよかったです。
最初は普通に読んだのですが、感想を書くにあたって若干整理すると、この受けの直樹、かなりダメ男です(笑)
今回は過去に直樹が何をやってしまったのか、なんでこんなに追い詰められちゃうのかというのがお話的は焦点になるので書きませんが、その罪がきっかけで人生を暗く過ごしているせいか、お友達もいません。
面倒な展開になるとそれから逃げてしまいますw
いつでも逃げられるように仕事もアルバイトを転々としていて、最終的に花屋で落ち着いたようです。
なんせ、小さいときにその罪から逃げて、次は直樹から逃げて、再会してからもまた直樹から逃げて、故郷の山に隠した罪を隠しに帰るんですw
作者も書かれていることですが、あんまりいいところがない受けです(笑)
しかし、そんな受けを愛してやまないのが了という幼なじみの男(攻め)です。
了は外見もよく、頭もよく、更には性格もよいらしく、欠点らしきものが見つからないという、どう考えても誰からも好かれる男。世話好きさんタイプのいい男系です。
この時代に就職も成功してますしね。
別に浮気したわけでもないのに、突然最愛の恋人が失踪しちゃうんですから、本当に哀れだなと思います(笑)
何故こんなに直樹を愛しちゃってるのかがよくわからないのですが、再会してからも自分から逃げようとした直樹を追いかけてしまうあたり、了の欠点は直樹に惚れたことなんじゃないかと思いますねw
突然逃げられてしまったのに、まだラブ度が下がらないあたりも、執着系としてはいい攻めだと思いますw
受けの精神状態がよくないのでそういうのが苦手な人、幼なじみものが苦手な人には向かないかと思います。
幼なじみとはいえ、もう二人とも成人した大人ですから、高校生ものがダメとかいう方なら大丈夫かと思いますよ。
最後はちゃんとハッピーエンドになります。
やっぱハッピーエンドは安心しますw
(アンハッピーの終わり方も好きだけどね)
面白かった度:★★★★★
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