夜光花「夜を閉じ込めた館」

竹書房ラヴァーズ文庫夜光花さんの「夜を閉じ込めた館」です。イラストは小山宗祐さんです。

夜が怖いのか・・・・・・。
可愛いお前は、俺みたいな悪い男には毒だ──・・・。

立体アーティスト、岸田智洋は、パーティーで知り合った椿という男から別荘のドールハウスを造って欲しいと依頼される。田舎の山中に建っている別荘は、車かヘリでしか通う事ができず、智洋はドールハウスが完成するまで別荘に住み込む事を余儀なくされる。そこへ毎日のように都心から椿がヘリで通ってきて、智洋を口説くようになった。拒絶するが、一人では山を下りられない智洋は、いつの間にか別荘に閉じ込められているような状況に愕然として・・・。誰も来ない山奥で起こる拘束愛と、妖しい互いの関係が招く究極のサスペンスストーリー。

ドールハウスを作る仕事をしている智洋は、人とのコミュニケーションをとるのが苦手だ。
できれば、家にひきこもってドールハウスを作っていたいと思っていて、友人は洋館に住む老人・ジョージだけでいいと思っていた。
ある日、仕事の関係で行かざるを得ないパーティに出席した智洋は、そこで自分を見ている視線に気付く。
バルコニーに逃げたところで話しかけられてしまい、突然キスをされて驚く智洋。
しかし、その後で仕事を依頼したいと紹介されたのは、突然キスしてきた男・椿だった。
椿は、自分が所有する取り壊す別荘のドールハウスを作って欲しいと依頼してきて、突然キスなんかしてくる男の仕事はやらないと断るつもりだったが、別荘の設計図を見て、その別荘が気になってしまい、結局請けることにした。
別荘は青森の奥地にあり、ヘリコプターか車じゃないと行けない場所にあった。
椿は、ドールハウスが完成するまで、別荘で造るように言われてしまい、住み込みことになった。
山を降りる手段がない状態で、別荘に閉じ込められるような形となった智洋は、それから椿に口説かれるようになる。
そして、椿が主催した亡くなった母親を偲ぶ会から、殺人が起こり、一人づつ殺されていき・・・・・・というお話です。

今回はとてもミステリ色の強いお話になっています。

別荘への交通が限られるので、外部から遮断された陸の孤島のような状態で次々と起こる殺人・・・・・・犯人やその事件の背景は何かという、ミステリの要素が主要なお話かなと思います。
そこにプラスしてボーイズラブ要素が入るので、個人的には結構好きなタイプのお話でした。
(もともとミステリ好きですからw)

そして、更にわたしは洋館好きです!

洋館を巡ったりしてました☆
なので、多分お話に出てきた洋館の設計者に心当たりがありますよ!!!!
描写がまさにあの設計者では? と思うようなものになっていて、人と違ったところで萌えていたあたしでした(笑)

変わり者ですいません (^^ゞ

取り壊す予定のある別荘は、非常に造りのいい洋館。
実際に行って見ると、知っている場所だった。

智洋の父親は庭師の仕事をしていて、母親が亡くなったばかりで口がきけなくなってしまった10歳の智洋も、その洋館に住み込みをしていたのだった。
取り壊すというわりに、急いで復旧作業をしている館。

その洋館は、椿の母が亡くなった場所で、母が亡くなってからは閉ざしたままだった。
取り壊す前に綺麗にし、思い出にドールハウスを造ってもらう、そして最後に母親を偲ぶ会を開こうと椿は計画していた。
母親を偲ぶ会では、母親が亡くなった当時にいたスタッフや知人が集められていた。
そして、母親が好きだったクラシックの演奏などが終わったあと、椿は母の霊をここに呼ぶと言い出し、霊媒師を呼ぶ。

椿が仕掛けた罠は、既に始まっていた。

椿の母親は病死とされていたが、実は他殺だった。
椿、智洋、椿の友人3人、お手伝いのおばあさんイトの6人しかしない館で、連続殺人事件が幕をあける。

陸の孤島と化した洋館で起こる殺人事件──
連絡をしても来ない警察
容疑者は一人づつ消えていく・・・・・・
何故、椿の母親は亡くなったのか──
そして、この殺人事件の犯人は・・・・・・

智洋は人形のように美しいのですが、人と関わりあいたくなくて、誰とも付き合いがない。
唯一心を許しているのは、洋館に住む老人のジョージだけ。

しかし、椿と出会ったことで、人と肌を合わせることを知り、人を好きになることを知ります。

洋館で過ごすうちに、昔の記憶を取り戻していきますが、今回のキーポイントとなります。

最後の最後で、非常に驚きの一幕がありました。

殺人事件も終わり、事態は収束して、あとは二人がラブラブに過ごせれば・・・・・・というところで語りだすジョージの話が、非常にインパクト大です!

個人的にミステリ好きとしても気になったというか、正直勿体無かったのが、ネタばれのところ。

あそこが結構あっさりといってしまったのが勿体ねぇ!と思いました。
まあ、ページ数的に厳しそうだし、仕方ないのはわかりますけどね・・・
今回、かなり分厚い一冊になってますもんねぇ (^^ゞ

あと、テレビとかがないような状態だったので、きっと携帯電話の電波も届かなかったでしょう。
携帯の記述もあると、もっとよかったかなと。
(重箱の隅ですいません (>_<) ) はじめてお名前を見た絵師さん、存じなかったので検索してみましたら、なんと男性!! いや~美麗なイラストだったので、気になっておりました! サイトでも非常に美しいイラストがアップされていて、とても素敵でした♪ そして、どうでもいいことですが、今回表紙の紙がいつものラヴァーズ文庫とは違ってマットなかんじがよかったです♪ 面白かった度:★★★★☆

2件のコメント

  1. こんにちは、さくらさん。

    BLのミステリーとしてはすごくよく出来ていると思いました。
    特にジョージの正体がよかったです。

    あれでお話に奥行きが出たような気がします。

    さくらさん、洋館好きなんですね。
    雰囲気あっていいですよね。
    執事やメイドが似合いそうな洋館とミストリー、切っても切り離せません。

  2. 桃さん、こんばんは。

    >BLのミステリーとしてはすごくよく出来ていると思いました。

    そうですね!!
    BLではどうしても恋愛重視になってしまったり、
    エロ重視になってしまうので、こういうのもいいかんじだと思いましたよ!
    ジョージはマジでびっくりしました。
    ああくるとは……!!

    洋館は好きですね~(笑)

    好きだったので、迎賓館の中とかも見に行ったりしましたよ。
    (今は見れませんけどね)
    無駄に豪華絢爛でいいかんじです♪
    しかし、肝心の執事やメイドがいる喫茶には行ったことがありません。
    生きているうちにぜひ一度は行ってみたいですw

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